建築でコンピュータ、する?
2021年1月26日(火) 10:47 JST
仰々しい名前がついていますが…プログラミングによる三次元モデリングにおいて制作可能なモデルを作ることにフォーカスした講義です。「制作可能な」をもう少し具体的に言えば、多軸加工機等でのファブリケーションの入力として利用できるように、納まりが表現されていて(≒構法)、制作できそうな(≒工法)水準の三次元モデリングを考えよう、ということになるでしょうか。今年度からの開講となりました。建築分野における三次元モデル、特にBIMな三次元モデルは属性オリエンテッドで、属性をうまくつかってシミュレーションや情報伝達がなされていますが、三次元モデルの目的の一つである「建てる」を考えれば、やっぱり形状も大切です。加工機でのファブリケーションを想定すれば、加工の可否判断や制御の導出に必要ですので、なおのこと重要であることがわかります。
プログラミングによる三次元モデリングに関しては、2017年からArchiCAD付属のモデリング言語GDLを建築生産設計という講義でも扱っています(研究室としては2005年からゼミのコンテンツとしていました)。研究室で毎年行っている木工実習では、この建築生産設計で学んだことを活かし、三次元モデルでの設計が行われますが、実習向けの簡単な対象であってもちゃんと納まり等を加えようとするとちょっと難しいようです。レシプロカル・タワーのように斜めかつ部品種数が多いアルゴリズミックな対象ではさらにハードルがあがり、スケジュールの兼ね合いもあってモデリングを完走できる学生がぐっと減ってしまいます。このあたりの問題意識をモチベーションに、建築生産設計(学部四年生向け)を基礎編、建築形体論理(修士向け)を応用編のように位置づけ、制作に耐える三次元モデリングを目標に据えました。
初回となる今年度は:
Kindle版ですが、およそ5年ぶりにGDLプログラミングマニュアルを更新しました。
ArchiCAD V23での動作確認と操作手順説明の修正をし、また、画面も全て撮り直しました。
ホームページで紹介している中級編を取り入れて、初級編・中級編の2部構成への変更も企画段階ではありましたが、実質的にリフレッシュのみとなりました。
内容・構成はまったく変わりはありません。旧版をお持ちの方は再購入される理由はないです。見た目は新しくなりましたが。アマゾンでのリンクはこちらです。
教科書「3D図解による建築構法」の第二版が出ています。
論文のシーズンが終わってほっとしていたら、もう三月も中旬で、新年度の準備をしなければなりません。研究する時間が本当に取れなくなってきました。難しいものです。
上の図は、第二版の講師用ヴィジュアル教材を準備中にディスプレイ画面をダンプしたものです。全部で400枚程度の図を当研究室で作成していますが、サムネイルを一画面に表示したところです。400枚、多いのか少ないのかこうしてみると判断できませんね。
ことしも普遍の講義「かたちの論理」の担当分を済ませました。現在はレポートを出題してその提出を待っているところです。結果については稿を改めて紹介したいと思います。
さて、最終回の講義後、OpenSCADが教科書の説明通りに動いてくれないけれどどうすればよいか、という質問がありました。OpenSCADが内部で使用しているOpenCSGとPCのグラフィックカードとの相性が原因のようです。全ての場合で問題が解消するとは限りませんが、もし動作がおかしいことがあれば、フォローページに対応策を追加しましたので試してください。フォローページはこちらです。