建築でコンピュータ、する?
2024年10月 8日(火) 15:36 JST
数年前に、エイヤッとそれこそ清水の舞台から飛び降りる決意でロボットを導入してから、あれよあれよとロボットが増え、すでに他所に移籍したものも含めると計8機のロボットが研究室にやって来ました。8機目の方はしばらく先になりますが、今回はその初代ロボットを活用した研究の紹介です。
メーカー名は伏せますが、このロボット、不具合が多くて本当に困りました。木材の切削など、振動が出る仕事をさせるとエンコーダが狂うのです。何度も修理を依頼しましたが、部品が日本国内にないことがあったり、本当にちゃんと働いている期間が短い、そんなロボットでした。大学の研究室の場合、顧客の依頼を納期までに仕上げる、そんなクリティカルなデッドラインはない※のでなんとか使ってこられましたが、翌年以降、普通に動くロボットが研究室に入ってくると、木材切削からは退役しその後はタイル並べを細々と続けていましたが、いつしか電源も結線されることなく床にぽつんと放置されてしまいました。
※論文の締め切りはあります。為念。
そんな様子を見て不憫に思ったのか、M2の学生が「オレンジ君を使って何かしたい。人間用の3Dペンをロボットに持たせてみたらどうなるか、確かめたい。(注:脚色しています)」と申し出ました。人間用の3Dペンはおもちゃカテゴリーの製品ですので高価ではありません。ロボットへの装着は3Dプリンタでパーツを自作すればよく、低予算で試行できるのでやってもらうことにしました。
コロナ禍からの回復がなかなか進まない現状ですが、皆さんはお変わりないでしょうか。千葉大学では構内への入構規制が緩和され、学生は許可さえあれば比較的自由に入構できるようになりました。学外の方も以前よりは入構しやすいと思います。
実はコロナ禍による入構規制が始まる直前から、レシプロカル・タワーの隣にレシプロカル・多面体を展示しています。展示開始からすでに2ヶ月以上過ぎていますが、まさかこれほど入構規制が長引くとは思わず、解除されてからの案内を予定していたため、判断悪くこの時期になってしまいました。梅雨入りしてしまいました・・・
といきたいところでしたが、何事も計画通り進まないもので、ロボット本体はほぼ計画通り設置されましたが、取り付けるツール類がまったく届かず、3月になって運用開始直前段階までようやく漕ぎ着けました。
1,2号機の記事はこちら ⇒ さようならロボット1号、2号
この秋に制作した「レシプロカル・タワー」ですが、基本ユニットを鉛直軸廻りに90°、4回転させて全体を構成しています。全116個の部材からなり、基本ユニットでみると29種類の部材からなります。
29種類の部材はどれも、普通の製材の両端を切り落とし、木口面と側面に計8個(端の部材は4個)のダボ穴を開けています。こう書くと造作ない加工のように思われますが、両端の切り落としは種類毎にすべて微妙に異なるし、木口面に開くダボ穴は材長方向に平行ですが、側面に開くダボ穴は側面の法線とは一致せず、ペアとなる材の端面の傾きの違いに呼応して微妙な角度の違いがあります。
この写真は、これまで材料実験棟に設置してあったロボット1号機と2号機です。この度、共同研究での使命を終え、新たな職場へと異動になります。