建築でコンピュータ、する?
2024年10月 8日(火) 14:47 JST
2020年度の修士論文発表会がオンラインで行われました。今年度の修士論文を簡単に紹介したいと思います。
本研究では3Dプリンターに使用されているエクストルーダを6軸腕型ロボットにツールとして装備させ、6軸プリンティングの造形実験を行いました。一般の3Dプリンタでは鉛直下方向を向いたエクストルーダをxyzの3軸方向に制御することが行われ、サポート材が必要となる、または限られた(z軸方向のみでしか積層できない)アクセス方向による制限があります。6軸での3Dプリンティングが可能となることで、積層パターンのバリエーションが増え、従来の3Dプリンタでは造形の難しいものも造形できます。本研究では6軸プリンティングに必要な実験環境、ツールパス生成方法、その応用などに着目し繰り返し試行し、実際の建築スケールへの展開の可能性を模索しました。本研究で造形した代表作品としては背もたれ椅子、カウンターチェア、と階段の踏面サポート部材の3つがあります。ロボットは様々な姿勢で積層を可能にするため、障害物や既設された部分などを避けながらターゲット位置にアクセスすることで、一体として全体を造形することができました。
丸太材でできた階段を制作しました。丸太材を機械加工するのは容易ではありませんが、コンピュータビジョンによる位置姿勢推定によって実現しています。この記事ではその加工手法を階段の制作過程を通して紹介します。
通常なら、木材の加工は製材を起点とします。製材であれば、予め製材をどこに置くかを決めておいて、その位置に合わせて加工パスを生成し、製材をその位置に設置してから加工をします。製材は側面がすべてほぼ平面なので、平面を把持機構に当てるなどして決まった場所におけますが、丸太材は安定して置ける面を持たず、決まった場所に置くことが困難です。
そこで、加工機への丸太材の設置しやすい場所の選択を優先し、実際に設置してからその位置姿勢を推定することで、事前に用意した加工パスを修正して適用可能としました。
これには、位置姿勢推定手法を新たに開発して対応しました。
こちらの記事では、現場安全性・生産性向上のための深層学習とコンピュータビジョンを用いた作業員の「名前・位置・動作」を推定する研究を紹介します。
深層学習のうち教師あり学習とは、データとその正解ラベルを与え学習させるとその見分け方のような正解の導き方を自動的に習得し、未学習のデータに対しても正解を導き出すことができるアルゴリズムのことです。コンピュータビジョンとは、その名の通り「機械の目」であり、画像解析などを通して画像の内容を認識させることを目的とする分野です。本研究では、現場に設置した単眼カメラとこの2つの技術を用いて、そこに写る作業員の「人物・位置・動作」を推定することを試行します。
大型制作物として伝統建築物の四脚門を制作しています。 過去数年にわたってチャレンジしてきた四脚門の制作ですが、当研究室の環境も年々バージョンアップしており、ついに今年度完成!?を目標に日々制作を進めています。 この記事では、オープンラボで紹介予定であった途中経過を報告したいと思います。