2018年12月18日(火) 05:15 JST

2015年度修士論文発表会が行われました

  • 2016年4月 6日(水) 15:22 JST
  • 投稿者:
    ゲストユーザ

こちらも年度が変わってしまいましたが、昨年度(2015年度)の修士論文の報告です。本研究室からは4名の学生が修士論文の発表を行いました。内容を簡単に紹介します。

  • ビジュアルプログラミングによる伝統木造の構法表現に関する研究
  • 可動テンセグリティ構造の建築利用に関する研究
  • 多関節ロボットを用いた伝統木造構法の部品加工に関する研究
  • 五軸加工機による木質軸材の加工に関する研究

ビジュアルプログラミングによる伝統木造の構法表現に関する研究

VPL(Visual Programming Language)では、アルゴリズムをテキストではなく、視覚的表現で記述を行います。システムのエディタ上にグラフィックシンボル(コンポーネント)を配置し、繋ぎ合わせることでアルゴリズムが記述でき、実行することが可能です。プログラミング言語の文法やルールの知識に乏しくても、GUIによる視覚的な補助によりテキストによるプログラミングに比べ、簡易にアルゴリズムが記述できます。また、プログラムの全体の手続きの流れや、パラメータや関数などの依存関係が線で繋がっているものや、コンポーネント同士が接続されているものなど視覚的な表現がされていることで、アルゴリズムの構成が把握しやすいという利点もあります。

本研究では、VPLを用いた伝統木造建築の構法の表現について考察しました。VPLの視覚的な表現方法により、伝統木造建築の設計法のアルゴリズムを表現することで、寸法の依存関係や部品同士の納まりなどの設計意図をより明確に表現できると考えられます。



可動テンセグリティ構造の建築利用に関する研究

テンセグリティ構造は圧縮・引張材のみで構成され、圧縮材同士が互いに接せず、浮遊感のある軽やかなデザインが可能です。しかし、その反面、設計・施工が困難で建築物での利用はほとんどありません。最近の研究で、動物の骨格と筋肉がテンセグリティとなっていることが指摘されています。

本提案では、生体のテンセグリティ構造が可能にしている変形や代謝のメカニズムを観察し、それを建築構造物として応用することを目的としました。解析には独自開発のツールを用い、設計から施工までの全過程を一連のワークフローとしてまとめました。これにより、建築でのテンセグリティ構造の利用を促進し、建築設計にあたらしいデザイン性が与えられることを期待します。



多関節ロボットを用いた伝統木造構法の部品加工に関する研究

伝統木造構法は日本固有の文化であり、最も複雑で美しい木造構法です。その維持保全は高度に訓練された宮大工によって支えられています。 しかし、高度な技能を有する技術者を育成し、質量共に必要なだけ維持し続ける事は社会的に難しい現状となっています。 現在の日本の木造住宅建築の部品加工における工作機によるプレカットは、生産の合理化のため、継手仕口などの形状を簡略化して加工されており、ディテールそのものが伝統である伝統木造構法へのこれらプレカットシステムの適用は許容できないと言えます。

本研究は伝統木造構法を対象として、複雑な動きが可能な多関節ロボットによる部品加工を目的とし、五重塔の屋根隅部のスケール模型の制作を通して、伝統木造構法の各部ディテールを実現可能な工具(ツール)の選定及び開発、工具を取り付けたロボット制御の検証を行いました。



五軸加工機による木質軸材の加工に関する研究

五軸加工機とは、加工対象物に対して、任意の位置と姿勢で工具をアプローチさせることのできる数値制御工作機械のことです。滑らかな曲面などの複雑な形状の加工が可能で、金属加工分野では五軸加工機での加工を前提とした部品を生産しています。 建築分野においても、ツーバイフォー構法住宅の部材生産プロセスで導入が進みつつありますが、簡易で単純な加工のみにしか利用されておらず、五軸加工機の性能を活かしているとは言い難いのが現状です。

本研究は、建築分野における五軸加工機の適用範囲拡大を目的とし、五軸加工機の試作機とその制御システムを独自に開発し基礎的な検証を行いました。建築大工技能試験の実技課題である四方転び構造を持つ椅子の部材を、開発した五軸加工機を用いて加工し、適用範囲の拡大可能性を示しました。