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2012年度GDL作品発表会

  • 2012年9月14日(金) 15:16 JST
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    ゲストユーザ

今年度もGDL講習会の集大成として、研究室にて作品発表会を行いました。講習生の作品は講習会で扱った内容の応用や、より発展的な手法で作られたものが見られ、過去の作品に負けず劣らず、手の込んだ作品が発表されました。余興として参加した当研究室の修士、博士の学生はGDLだけでなく、C++などの言語を用いたアプリケーションの発表が中心でした。普段行っている建築分野の研究ではあまり見られないアプリケーション、ソフトウェアによるユニークな作品に、良い刺激を受けることができました。

◇受講生の作品◇

【クラインの壺】


第3回講習会のメッシュを応用して作成された「クラインの壺」です。2次元配列で上手く座標を取得し、 そこにPLANEを貼って作られていますが、「クラインの壺」の面の表裏の区別がつかない不思議な形状が とても美しく表現されています。綺麗にレンダリングされていることもあり、長いこと見ていても 飽きませんね。


【大仏】


「大仏」をGDLによってモデリングした作品です。各パーツを一つ一つパラメトリックに表現した 力作です。顔の輪郭の表現では、下部の丸みのある部分と上部を滑らかに繋いでいますが、こういった 処理はプログラミングによるモデリングならではのもので、この作品では上手く処理されています。 その他、講習内で学んだコンテンツが多数盛り込まれており、GDL講習会の集大成として相応しい作品 のように感じました。


【ミルククラウン】


粘性のある液体をを水面に落とした時にこのような美しい形状ができる現象をミルククラウンといいいます。このモデルは円形のメッシュを生成し、中心からなめらかに高さを変化させています。王冠球の作成には特殊な制約を使ったFOR文が使われており、スクリプトもスマートでした。水面のレンダリングがとても美しいですね。


【グラス】


ガラスのグラスをGDLでモデリングした作品です。大まかなグラスのモデリングした後、こちらで紹介されているブール演算を用いてグラスの内側に表情を付けています。切欠きを行った事でガラスらしい表現になっています。



◇院生の作品◇

【campo volantine footbdidge】

Santiago Calatravaが設計した「campo volantine footbdidge」をGDLのみでモデリングした作品です。斜めに作られたアーチと、アーチ中央に集中する吊りケーブルが意匠面でとても特徴的です。この形状を実現させるための構造が橋桁に施されています。橋の曲線の変化に伴って手すり、橋桁の座標が変化する表現が容易である点がGDLモデリングの強みですね。


【Geodesic Dome】

Richard Buckminster Fullerによる「Geodesic Dome」のGDLでのモデリングを試みた作品です。正二十面体を構成する各三角形を再帰させ、球状に近似させていくよう作られています。第8回GDL講習会と同じくC/C++言語によるプログラミングからGDLスクリプトを書き出しており、各頂点を第4回GDL講習会の「傾く円柱」で結んでいます。動画は物理演算エンジンを用いて、作成したモデルを検証したものです。力学の考慮される環境下でモデルに力を加えた時、モデルがどういった挙動をするか等を感覚的に検証することができます。上手く実装できれば、例えば過荷重によるモデルの崩壊の様子など幅広いシミュレーションを行なうことができます。


【CGALによる形状生成】

CGALという幾何計算ライブラリを用いて、立方体の分割、点群からのメッシュの作成、ボロノイ図の作成、ドロネー三角形分割を行っています。CGALというライブラリを用いる事で建築に応用ができそうな多くの機能を用いる事ができます。


【パターン認識のOCR】

空間に文字を書くとその文字をテキストデータとして読み込むことができるOCRシステムです。映画等に出てくる空間に文字を書くというシーンを再現してみました。
手順は以下の通りです。

  1. webカメラに向かって赤いものを持って文字を書くと、その赤を認識して画面上に軌跡を残す。
  2. 画面全体を画像として保存し、予め用意しておいた文字画像のデータと形状のパターンマッチングを行う。
  3. パターンマッチングの類似度が高い順に、1-10位の画像と紐付けされたテキストデータを文字候補として羅列する。
  4. 自分が書こうとしていた文字を候補の中から目視で選び、テキストデータとしてインプットする。
  5. 1~4を繰り返し、文字列になったらwebで検索することが可能。

現状では、カタカナしか認識できませんが、画像データを増やすことでほかの文字に対応することも可能です。また、データセットを増やすことやマッチング方法の改良によって精度の向上が見込めます。


【声の建築】

音声を入力することによって建物を生成するプログラムです。 音が持続した時間が建物の高さとなり、ある瞬間での音の大きさが対応するフロア(階)の大きさになります。 つまり、左の画像の緑色の波形が概形となった建物がつくられます。 音が長く続くと、高い建物ができ、大きな音を入力すると横幅の大きい建物ができます。 音声の入力次第では、現実にはありえない形の建物もたくさん出来ます。

建物を集合させて作った街です。 入力値が音声のためばらつきが大きく、同じ形状の建物は二度と現れません。 また、形が形なので、ゲームのような世界観を出すようなテクスチャの張り方をしました。 テクスチャの種類を増やしたり、屋根の形状などを改良や、トリッキーな形状が生成される入力音声を研究し、よりバラエティに富んだ街の生成を試みたいと思います。


【PerlinNoiseを建築分野で応用してみる】


PerlinNoiseによって三次元モデルに自然な凹凸、ゆらぎを表現するソフトウェアです。まずは1枚目のパースと二枚目のパースを比較してみてください。1枚目のパースでは、まっ平らな芝生と単調なタイル壁がいかにもCGといった感じですが、2枚目のパースでは芝生面のゆるやかな凹凸が、PerlinNoiseによって生成した微小な高低差によって表現されています。奥のタイル壁を見てみると、タイル一枚一枚の表情が表現されていることがわかります。このタイル壁は、凸凹したタイルの三次元モデルを並べ(3枚目)、これに石材のテクスチャを貼ってレンダリングしたテクスチャ(4枚目)を一枚の壁に貼ることで表現しています。ここで使った石材のテクスチャも今回作成したソフトウェアでPerlinNoiseの組み合わせによって作成したものです。今回のタイル石材のテクスチャは割りとシンプルなものですが、このソフトウェアでは、パラメータやカラー、トーンを操作しながらノイズを組み合わせていくことで、5枚目のように大理石のようなテクスチャも作ることができます。


【測域センサを利用したプロジェクション型マルチタッチディスプレイ】

測域センサとプロジェクターを利用した投影型マルチタッチディスプレイです。測域センサ一機を利用して指先の動きをトラッキングしているので、センサから­見て指が重なって見えるような場合にはマルチタッチを認識することはできませんが、それさえ気をつければなかなか精度よく指をトラッキングできているのが分かるかと思います。測域センサのデータ出力が10Hzしかないので滑らかとは言えませんが、これほどリアルタイム性を重視しなければ十分に利用価値のあるデバイスであることを再確認しました。ちなみに、画面上を粒子が舞っていますが、指先に引きつけられるモード(赤色)、指先から離れていくモード(黄色)、センサデータを直接出力するモード(白色)があり、2本指で1秒完成しすると赤色、3本指だと黄色、4本指だと白色とモード変更できるよ­うになっています。

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簡単にですが、GDL作品発表会の作品紹介をさせていただきました。次年度の講習会も例年と同じく4月からになる予定です。GDLメモに定期的にアップしていた講習会に関する記事はしばらくお休み、ということになりますが、同カテゴリには講習会で扱わなったtipsや、日々の研究で発見した面白いGDLの使い方などを引き続き不定期更新していく予定です。