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丸太材を位置姿勢推定しながら加工する

  • 2021年2月15日(月) 14:43 JST
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丸太材でできた階段を制作しました。丸太材を機械加工するのは容易ではありませんが、コンピュータビジョンによる位置姿勢推定によって実現しています。この記事ではその加工手法を階段の制作過程を通して紹介します。

通常なら、木材の加工は製材を起点とします。製材であれば、予め製材をどこに置くかを決めておいて、その位置に合わせて加工パスを生成し、製材をその位置に設置してから加工をします。製材は側面がすべてほぼ平面なので、平面を把持機構に当てるなどして決まった場所におけますが、丸太材は安定して置ける面を持たず、決まった場所に置くことが困難です。

そこで、加工機への丸太材の設置しやすい場所の選択を優先し、実際に設置してからその位置姿勢を推定することで、事前に用意した加工パスを修正して適用可能としました。

これには、位置姿勢推定手法を新たに開発して対応しました。

位置姿勢推定手法を使用した丸太材加工システムは、製材を前提とした加工システムの構成とは異なるものになります。CADやCAM、丸太材加工システムの関係を下図に示します。

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まず、丸太材の写真を大量に撮りフォトグラメトリを行います。フォトグラメトリでは丸太材の形状データと局所特徴量に基づく特徴点の三次元座標が得られます。形状データは設計に、特徴点の三次元座標は加工機に取り付けた時の位置姿勢推定に、それぞれ使用します。

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フォトグラメトリで取得した形状データを使用してまずは設計します。左が今回設計した階段の形状です。使う予定の曲がり材でできるデザインになります。

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次に、設計した形状をCAMに入れてとりあえず決定した位置で加工パスの生成を行います。

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このパスを使って丸太材を加工しますが、丸太材の設置は試行錯誤が伴うのが常で、固定しやすい姿勢を探します。次に、なんとか固定した丸太材の設置状態を計測する必要があります。計測を行うには、設置後に撮影した写真から特徴点抽出を行い、フォトグラメトリを行った時に取得した特徴量とマッチングを行いPnP問題を解くと、丸太材の設置状態を計算できます。上の図は、設置後の写真と、その写真から得た変換行列を乗じた3Dモデルを重畳したものです。ピッタリ合っていますね。

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変換行列が得られたので、事前に作成しておいた加工パスに乗じます。こうして得られた新しいパスは、現在の丸太材の設置状態を反映しているので、加工機は想定通りの加工を実行してくれます。

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この手順を繰り返し、四種類×各二個、合計八本の部材を加工し、組み立てました。組み立てたら、踏板を載せて完成です。

丸太材でできたこの階段、なかなか見られないデザインになったのではないでしょうか。制作した階段は研究室で使用しています。

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