建築学会大会(北陸)に参加してきました

金沢にて行われました建築学会大会(北陸)に参加してきました。本研究室からは以下のタイトルにて、材料施工で3本、建築計画で2本、情報システム技術で6本の計11本の研究発表を行いました。その内容を簡単に紹介したいと思います。

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タイルパターンの設計と自動施工に関する研究

近年、コンピューテーショナルデザイン等、コンピュータを用いた複雑なデザイン・形状を表現することは容易になっています。一方、実際に施工する際には、その複雑さから困難となるデザインも多くはありません。ことタイルパターンに関しても多くは、単純なデザインパターンによるものが主流です。

そこで、本研究では腕型ロボットと人工知能を用いた画像処理によって、複雑なタイルパターンを自動的に施工することを目指しました。具体的には、CADソフト上でデザイン・配置したタイルパターンをもとに、ロボットの制御コマンドを生成し、タイル置き場から自動的にタイルを並べます。タイル置き場のタイルの情報は、常設したカメラから送られてくる画像をもとに、個々の色、向きを画像処理により得ています。今回は約1300個のタイルを用いたタイルパターンの施工を行い、設計通りに自動施工することが確認できました。


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施工現場におけるコンピュータビジョンの活用に関する研究 その1、2

現在技術者が不足している建設現場では、様々な建設機械による作業を自動化することで、生産性の向上に取り組んでいます。こういった建設機械作業の自動化は、BIMにより管理された部材情報を入力し、シミュレーションがなされた上で行われますが、この際にコンピュータ上で得たシミュレーション結果と現実とのズレを考慮する必要があります。

本研究では、クレーンによる揚重作業を例に、コンピュータビジョンを用い、資材置き場において荷吊りの対象となる部材を識別しその大まかな位置を得ること、クレーンのフックと吊り具の位置関係を求めることの二点を試行しました。結果、二つのカメラを用いた計測手法を提案し、上記の二点を確認しました。今回得られた結果をもとにフィードバック制御を行うことで、クレーンによる楊重作業の自動化が期待できると考えます。


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ロボットを用いた間伐材の高付加価値加工に関する研究 その1、2

昨今では人工林の持つ水源かん養や土壌流出の防止などの機能が見直されており、間伐等特別措置法の施行など間伐による森林整備が推進されています。しかしながら、主伐材に比較して間伐材は、建材への利用が少ないのが現状です。本研究では、間伐材の三次元形状を適切に管理し、高付加価値な部品に多軸加工機を用いて加工することで、新たな用途を提示し、間伐材の利用率の向上、更には間伐材の市場価値の向上に貢献していくことを目的とし、以下のシステムの開発を行いました。

また、加工例として、ピースエンピース構法、七角形断面の壁、サドルノッチの1/1部分模型の制作を行いました。結果、今回の研究では、間伐材の在庫管理データベース、ピックアップシステム、把持台とシステムを構築していくことで間伐材から直接、高付加価値な木質部品を得るシステムを制作することができました。

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深層学習による深度推定の拡張現実感への適用に関する研究

AR/MRにおいて違和感の少ない重畳シーンを得るには、三次元モデルの質や陰影の表現を始めとする光環境の整合性、サイズや位置のズレなどの幾何学的な整合性が重要です。幾何学的整合性の中でも、重畳する三次元モデルと現実のモノとの前後関係を正しく表現しようというオクルージョンは表現はポイントになります。

オクルージョンの表現には、キネクトのようなRGB-Dカメラを用い得た深度情報を用いる方法や、事前に周囲の三次元モデルを用意する方法(詳しくは過去の取り組みを参照ください)などがありますが、本研究では、深層学習を用い映像から深度情報を推定するFCRN-Depth Predictionというネットワークを用いた手法を試作、検討しました。デモでは、前後の距離がある程度離れている場合は、やや輪郭の乱れはあるものの上手くオクルージョンの表現ができることが確認できます。


伝統木造建築の制作を通したマルチツールロボットシステムの開発 その1、2、3

機械加工を含む大規模な制作プロジェクトでは長期間にわたり複数人で作業を分担しながら協働する場合があります。作業を分担して行う場合、部材ごとに制作の進捗や作業者が異なるり、作業の重複が発生することがあります。例えば、設計変更があった場合に加工パスを作り直すことや、同じ部材を加工してしまうこと等です。このような作業の重複を防ぐためには、部材ごとに作業の進捗を管理する仕組みが必要になります。また、複数のツールによる加工が必要な伝統木造建築の部材では、使用するツールや加工パスの管理の他、複数のツールを運用できる加工機も必要です。そこで、本研究では部材ごとの進捗管理システムと、マルチツールロボットシステムの開発を行いました。

システムの検証ではフクイラプトルの木造骨格模型と、「大工門ひな形」という文献を参考にして設計した四脚門を対象とし、実際に制作することでシステムの有用性を確認しました。引き続き、四脚門の制作を続けつつ、実建築への適用へブラッシュアップしていく予定です。

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ロボット施工のための曲面情報の操作に関する研究その1、2

これまで多関節ロボットに様々なツールを持たせて建築の木質部品を加工する研究を行ってきました。ロボットは様々な角度からツールを挿入することが可能で、一般的な三軸 CNC では加工が困難だったアンダーカット部分を加工することができるため、より柔軟な加工が実現できます。しかし、ツールを傾けて加工するにはワークへの干渉問題を解決して角度を決定する必要があります。本研究では、切削対象の三次元モデルの表面情報を用いて、以下について検討を行いました。

  1. 効率の良い粗削り加工パスの導出アルゴリズム
  2. モデル表面の法線の向きにミルを傾けて切削する仕上げ加工パスの導出アルゴリズム

また、作成した加工パスをシミュレーションし、視覚的に検証を行えるソフトウェアを開発しました。実際に彫刻的意匠を持つ建築材の制作を行い、作成した加工パスの検証を行いました。

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HLAB
http://www.hlab-arch.jp/article.php/20190911134623297