建築でコンピュータ、する?
2024年10月 8日(火) 14:55 JST
2019-2020のバナーに採用した恐竜の骨格標本のこの ↓ 写真について説明します。
まったく建築と関係なさそうですが、これは共同研究で実施したもので、パートナーも大手ゼネコンなのです。なぜ恐竜なのか、その理由も含め技術的な解説は以下のURLで開くパンフレットで確認ください。
この記事では、なぜこんなプロジェクトを建築の研究室で引き受けることになったのかを、簡単に説明します。
部品数、個々の部品の複雑な形状、模型の大きさ、これらを鑑みるとこのプロジェクトはそれなりに大きな規模であり、実現には多くの時間と工数が必要であると予想しました。完成締め切りもありましたし、とても当研究室だけでは達成できません。事前の条件を整理しているあいだに、パートナー企業側でも切削作業を分担できる施設が整い、共同研究として立ち上げることになりました。
しかしそれでも対象は恐竜であり、とても建築の研究とはいえません。決定を逡巡しましたが、制作拠点が二箇所(パートナー企業技術研究所、千葉大学)に分かれるため、もしかしたら分散環境下での協調作業の支援を実験できるのでは?と考え、最終的に協力を決断しました。
分散協調設計制作を支援するシステムを、得意のデータベースをバックエンドとするWEBアプリケーションとして実装し、本プロジェクトへ適用、恐竜模型完成まで運用することで支援システムの有効性を確かめました。これに関しては昨年度の修士論文になっています。修士論文に関しては次のリンクで紹介しています。 リンク: 2018年度修士論文の発表会が行われました
同床異夢というとやや否定的なニュアンスがあると思いますが、パートナー企業さんは社史を象徴する恐竜模型を、我々は分散協調支援システムの実用化と、それぞれ満足できる結果を得ることができ、チームワークよく質の高い結果に到達出来たと思います。共同研究ですと、同じ目標を二人三脚で目指す(ときに丸投げも、笑)、そんなイメージがありますが、本プロジェクトでは成熟した関係を構築して共同研究として完遂できました。
この共同研究のスキーム、いろいろと応用が利きそうです。
このプロジェクトの紹介パンフレット
「木造恐竜制作プロジェクト(2019-04-26)」
http://www.hlab-arch.jp/images/hlab/download/wdp2019.pdf