建築でコンピュータ、する?
2025年3月16日(日) 22:35 JST
2017年度の卒業論文発表会が行われました。本研究室学生の卒業論文を簡単に説明します。
建築分野ではCADソフトが一般化し、また検索システムの分野では画像検索に深層学習が使用されるようになってます。そこで設計の基本情報が記載された図面画像をクエリとし、過去の設計例を検索できるシステムがあれば大変有用だと考えました。本研究では深層学習の一つであるオートエンコーダを用いた特徴量を導入し、外構設計を対象に過去の設計例の検索及び分類例分けによるデータベース化を検討しました。これにより類似度の高い構成の設計案を検索が可能となりました。
CG作成において、木材は小口や板目などの切り方によって木目に変化があるため、通常のマテリアル表現では正しく表現することはできません。これを再現するためにボリュームレンダリングという手法を行いました。過去、研究テーマのリバイバルや修士研究として同様の方法を用いた木材の表現に取り組んできましたが、本研究ではゲームエンジン上で実装を行っており、パラメトリックな幹や枝の定義、赤身と白太の設定を行うことで、よりリッチな表現になるよう努めています。下の画像をクリックすると大きめの画像がポップアップするので、ぜひ拡大してご覧ください。
デジタルファブリケーションは所謂DTP(Desk Top Publishing)、必要なものを必要なだけ制作できるという点が特長です。中でも立体物を造形できる三次元プリンタは様々なシーンで注目されています。本研究でもいろいろと活用していますが、近年では、強度のある部品の制作ができるものも出てきており、実建材への応用が見込まれるようになってきています。本研究では、造形物にカーボンファイバを「配筋」することで強度のある部品の造形を可能とする三次元プリンタを導入し、建築や家具接合部への適用を試みました。DPG工法的なパネル押さえ、木造ドーム部品の嵌合部のプレート、テンセグリティテーブルのジョイント、ポリゴンデザインのチェアのジョイントなどを制作しました。実建材やそれに近いスケールで三次元プリンタによる部品を適用することができました。またポリゴンデザインのチェアでは浮遊感のあるデザインが実現されるなど、意匠性を広げることもできました。
ペンローズタイルは規則的でありながら繰り替えしが発生しないという特徴をもった非周期タイル充填の一種です。本研究ではペンローズタイルの基本形、ファットとシン二種のタイルを変形させることによってデザインの幅の拡張を試みました。基本形の変形には過去の卒論で行ったように基本形の辺に手を加える方法をよく目にしますが、本研究では、辺に対し直交となるよう線を引くなどし、基本形の内部を変形させる手法を試行しました。このようにすることで、基本形のつなぎ目が意識されにくくなり、より複雑なパターンを生み出すことができます。二次元でのデザインに加え、三次元においても、つなぎ目での高さを揃えつつ、各基本形内部で高さの変形を付けることによって、さらなるデザインの可能性を示しました。出来上がったデザインを利用した、ペンローズパズルや欄間の制作も行いました。