建築でコンピュータ、する?
2025年3月16日(日) 21:31 JST
先日、大型の産業用ロボットを導入した折にも触れましたが、"実物大建築部品の加工"の試験として、倉庫のフレームの制作を行いました。
設置個所の条件が悪く、地面の高さ、傾きが一様でないためそれぞれを測定し、柱の長さ・下端の切り落としの角度に反映しなければ綺麗に施工出来ません。当初はピンコロ石間に角材を渡し角度を測るなど試行錯誤していましたが、結局昔ながらの水盛という方法で高さを計測し、ピンコロ石の傾きは電子水準器で直接計測するという方法に落ち着きました。また、SfM(Structure from Motion)による写真測量も試しましたが、SfMでは基準となる水平垂直が出しにくいため、今回は実測値を採用し、SfMによるものは確認用に留めました。
設計は三次元CADで行います。制作する倉庫は金物工法とし、金物の納まりの形状、計測した情報を柱の高さ、下部の切り落とし角度を含めモデリングします。妻面の梁を傾け、仕口部分の直角・斜めそれぞれの加工バリエーションが可能か確認することも行いました。先程の点群データは、ここで設計案と照らし合わせて確認するのに用いています。
この三次元形状を元にロボットによって加工します。部材数は多くはありませんが、それぞれの部材の形状が微妙に異なっています。スライドソーなどの従来の工具でこれらを加工しようとすると、部材毎にスライドソーの歯の角度を変更し治具を駆使しながら…となり、形状が微妙に違うことでかなりの加工コスト増となりますが、ロボット加工の場合は、加工用のパスを変えるのみで加工を行うことができます。加工を終えたら、あとはドリフトピン用の穴を開け、金物を取り付け施工します。今回はドリフトピン穴の加工は人手で行いましたが、こちらの記事(リンク)のように丸鋸以外のツールを持たせることで、ほぼすべての加工をロボットに任せることができます。
ひとまず倉庫のフレーム部分が完成しましたが、このあとは壁部分に少し凝った造形、Makersに出展した五軸加工機のアップデート版で行うことを予定しています。詳しくは改めて告知させていただきますが、11月4日(土)の大学祭に合わせたオープンラボでお披露目できればと思っています。