建築でコンピュータ、する?
2024年12月13日(金) 02:49 JST
研究室のメンバーが増え、作業スペースが足りなくなってきたため、(来客用の)打ち合わせスペースを移転しました。移転先の部屋を丸々打ち合わせスペースとして使うのは少しもったいないので、間仕切り壁を設け、一方を来客用の打ち合わせ兼展示スペースに、もう一方を教員室にしました。
改装の主な内容はつぎの3つになります。
間仕切りについて、設計段階ではアルゴリズミックな壁面などのアイデアも挙がりましたが、教材としても使えるようスタンダードな構法で設計しました。在来軸組構法に一部金物構法を取り入れています。設計は三次元CADを使い、実際に木材の加工に入る前に三次元プリンターでスタディをしながら最終的な継手や仕口の納まりを考えました。出力した模型はメンバーで設計案や組み立て手順を共有するのにも役立ちました。
継手や仕口は木造構法の勉強を兼ね、自分たちで刻みました。鋸や鑿などの伝統的な工具とスライドソーや角のみ盤などの電動工具の両方を用いて、どこで何を使ったらうまくできるだろうと検討を重ねながら作業を進めました。
最後に壁、引き戸、金物を取り付け、カーペットタイルを貼り付けて完成です。壁の部分は今のところOSBの板ですが、今後、打ち合わせスペース側に下見板張り、ささら子下見板張りなどを追加施工し、壁構法の教材にしようと考えています。
実際にこのような間仕切り壁を制作してみて、三次元CAD上では簡単にモデリングできても、その形を実物で制作するのはとても難しいことだと実感しました。木材にはそれぞれの個性があって、節の位置・反り・硬さなど一つとして同じものはありません。だからこそ、そのばらばらの木材をうまく組み合わせるためにはそれぞれの個性に合わせた加工が必要とされます。 動きの精密さでは人間に勝るロボットですが、熟練の職人のように木造を成立させるには木材の個性を把握しそれに合わせた加工を行えるような工夫が不可欠かもしれません。まだまだ研究することは多そうです。