2016年度卒業論文の発表会が行なわれました

2016年度卒業論文発表会が行なわれました。本研究室の学生の卒業論文を簡単に紹介します。





引張材を膜にしたテンセグリティ構造のデザインと試作

テンセグリティは圧縮力と引張力のそれぞれを別々に負担する2種類の材(圧縮材・引張材)で構成される構造体で、一般に引張材にはワイヤ等の線材を用います。しかし、引張材をそれぞれワイヤで制作すると部材数が多くなり、施工が難しくなります。そこで本研究では引張材を平面的な膜に置き換え、施工性の良いテンセグリティ構造を設計しました。数本の圧縮材と膜によって構成することで、施工の簡便さとポータビリティを両立し、パビリオン等の仮設建築に役立つものになりました。


膜テンセグ模型1 膜テンセグ模型2
膜テンセグ模型3 膜テンセグイメージ


五軸加工機による校倉構法の拡張に関する研究

校倉造りとは材を壁状に積み上げる丸太組構法の一種です。広義には井楼造りとも呼ばれるこの構法では、職人が斧やチェーンソーを使い加工した材が用いられてきました。現代では、技術発展により製材から交差部の加工までを機械で行うマシンカットログハウスも数多く建築されています。歴史ある校倉造りは、加工時に用いられる道具と共にその形態を変えてきました。そこで本研究では、自由度の高い加工を可能とする五軸加工機を導入するとどのような形態が可能になるか試行しました。まず、日本とヨーロッパでの機械による校倉加工をまとめ、その中から幾つかを五軸加工機に合った加工形状にした3Dモデルを作成し、当研究室で開発中の五軸加工機を用いて切削しました。今後は加工機本体と加工システムの改良を進め、様々な校倉や木質架構の加工に挑戦することを目標としています。


校木1 校木2
校木3 校木CG


大規模城郭姫路城のCG復元に関する研究

本研究では城郭建築のCG復元に際し、効率的に復元する手法を考察し、播州姫路城図(元禄12年~宝永元年)に描かれた往時の姿の姫路城を三次元モデル化しました。取り組みの全体像については、(姫路城城郭のCG復元)に掲載してありますが、この研究の中では特にプログラミングによって定義する部品雛形について考察しました。資料を参考に実際に存在するまたは存在した部品を分類整理し、各々の部品雛形の対応する範囲に関する設定や、部品雛形の粒度、つまり生成する単位の大きさについて、三次元モデルを組み上げながら検討しました。開口、屋根、石垣、土塀の部品雛形が適切に定義されることで、様々なバリエーションのある城郭内の建築物を効率よく、かつ外観のCG復元に十分な詳細さで三次元モデル化することができました。


モデルのパラメータ 粒度の説明
姫路城パース1 姫路城パース2


モザイクタイルとロボット施工に関する研究

複雑なルールを持つタイルパターンは、人の手による設計・施工が難しく、現在用いられているパターンの多くは、タイルを単純なルールに従って並べるものに留まっています。本研究では、複雑なアルゴリズムを持ったタイルパターンを、ロボットによって施工することを目指しました。実際の施工を想定しバラバラに置かれたタイルから、カメラによってタイルの色・座標・回転情報を取得し、必要なタイルを選びます。次に、ロボットに取り付けられた吸着チャックを空気弁により制御しタイルを保持します。その後、タイルパターンで指定した座標位置に移動し、モルタルに見立てた紙粘土に埋め込んでいます。ロボットを利用することにより、複雑なタイルパターンであっても正確に施工することができました。今後、機械学習などを取り入れることで、タイル以外の建築部材を判別、施工することが期待されます。


施工の様子 タイル保持の様子
複雑なタイルパターン 紙粘土に圧着する様子


多関節ロボットによる技巧的意匠をもつ欄間の制作

近年、建築分野においても3Dプリンタなどのデジタルファブリケーションが取り入れられるようになり、今まで実現が困難であった形状の物も制作できるようになりました。しかし、それらのような新しい製作技術においても、それぞれ加工できる形状には制約が存在します。本研究では、建築部品の中でも装飾性が高い欄間の制作を通して、多関節ロボットによる木材切削加工のデザイン上の制約を検証しました。デザイナーがそれぞれの加工の制約を知っていることでデザインと実際の制作物の乖離を小さくすることができます。


複雑な形状の欄間 欄間加工の様子
制作した欄間1 制作した欄間2


HLAB
http://www.hlab-arch.jp/article.php/20170317180223586