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2016年度GDL講習会 作品発表会

  • 2016年7月11日(月) 18:39 JST
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今年度のGDL講習会の最終課題となる作品発表会が行われました。 4月から3ヶ月間という短い講習期間でしたが、受講した学生たちの作品はそれぞれレベルが高いものとなっています。 今年度も「GRAPHISOFT賞」をArchiCADを開発しているGRAPHISOFT社さんに設定いただき、発表会の様子をリアルタイムで見てもらいつつ、質問等も交えながら選考してもらいました。

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◇受講生の作品紹介(4年生)◇

GRAPHISOFT賞の選考対象となる今年の受講生は6名でした。


No.1 グラスステーション

葉デザイン事務所が設計した熊本にあるガソリンスタンドの屋根をモデリングしたものです。4本のアーチによって作られる三次元曲面をうまく再現しています。曲面はホットスポットにより調整することもできます。ガラスとロッドによる複層構造も丁寧にモデリングしてあり、破たんがないようになっています。


No.2 チャンド・バオリの階段井戸

インドはチャンド・バオリにある巨大な井戸をモデリングしたものです。実物をそのままモデリングするのではなく、ある法則に基づいて階段を屋根と入れ替えることによって、建築的な空間の提案も行いました。もちろんパラメトリックな設計になっており、階段の幅や高さなどを自由に変更することもできます。


No.3 Quantum Concept Museum

分子のような形をした博物館のコンセプト段階の建築をモデリングしたものです。特徴的な外壁の模様の切り抜きは、幾つかのパターンで用意したプリズムをランダムな位置に呼び出すことで生成されるようになっています。内側のフロアや青色の複雑なガラス形状も表現されています。


No.4 パビリオン

共振する波の波形からヒントを得て、建築へのデザインを提案したものです。波の高さや曲面の滑らかさなどをパラメトリックに変更することができます。下部の構造物のデザインも独自で考えました。


No.5 キネティック・レンガ

★GRAPHISOFT賞★

動的に変化するレンガの壁を独自にデザインし、モデリングしたものです。ホットスポットによって頂点を動かすことができ、それに応じてレンガが動くのですが、移動量は等間隔にならないような数式で移動量を求めています。連結されている部分も丁寧にモデリングされており、見ごたえのある完成度となっています。

デザインの独自性や美しさ、パラメトリックな変形への柔軟な対応などが評価され、見事GRAPHISOFT賞受賞となりました。おめでとうございます。


No.6 シンデレラ城

テーマパークにあるシンデレラ城をモデリングしたものです。パラメトリックに動かせるところは時計盤だけでしたが、それ以外の建築の作りこみが非常に細かく、まさに力作でした。曲線を多用する必要のある手すりや装飾もきちんとモデリングされています。



本年度の受講生の作品は以上になります。どの作品も様々な建築をGDLで上手に表現しており、完成度の高いものが多くありました。来年度も4月からGDL講習会を行う予定ですので、興味を持たれた方は是非ご参加ください。学内だけでなく、学外や他学年からの参加も受け付けています。



◇院生・博士等の作品紹介◇

発表会当日はGDL講習会を受講した学生だけでなく、当研究室の院生も後輩に対抗(?)すべく作品を発表しました。今年も、建築だけでなく様々なものをモデリングした独特な作品が発表されました。なお、GDLを用いてなにか面白いもの(造形)を作るという趣旨で楽しんでいますので、所謂BIM的なところでのGDL活用についてはまた別の機会に紹介できればと思います。

No.7 あみだくじ

GDL発表会での発表順を決めるあみだくじを作りました(残念ながら今回の発表会の順番決めには間に合いませんでした)。あみだを選ぶ際に端部がないよう円筒状になっており、横方向も隣以外へ移動しますので、公平感に富んでいます。ホットスポットによって下がっていくときに入れ替わる様子も表現されています。


No.8 寝殿

ブラウザ上で表示できるSVGという形式で平面図を描くと、自動的に寝殿造りの建築が建つというプログラムです。少ない入力から、柱梁屋根にいたる細部までを判断し出力するのはとても高度な技術が必要です。


No.9 富士

北斎の描いた神奈川沖浪裏という絵を三次元的に再現してモデリングした作品です。ppm形式とpgm形式で保存された画像からRGBと深度情報を読み込み、ブリックだけでモデリングしています。三次元のモザイクタイルのようなイメージでしょうか。


No.10 和の風景

カラフルな和傘をモデリングした作品です。傘の開きや骨の間隔などをパラメトリックに変更できるほか、カメラのウォークスルーと連動して、桜吹雪も動くようにプログラミングされています。


No.11 再帰の練習

再帰を用いて、植物のモデリングをした作品です。内側に行くにしたがって黄金角で回転しながら葉っぱが丸まり、互いに重ならないように色も変えながら折り重なっていきます。


No.12 ライフゲーム

ライフゲームというシミュレーションゲームを三次元に拡張した作品です。三次元だけでなく、四次元に拡張したものもプログラミングしました。


No.13 螺旋階段の手すり(D)

ベジエ曲線を用いて、らせん階段の手すりをモデリングしました。三次元に動かせるホットスポットにを使うことで、複雑な三次曲線をスムーズに繋げることができます。もちろん断面も常に平行になるように作られています。


No.14 やりがい君

再帰を利用し、ロマネスコという変わった形をした植物(野菜)のモデリングをしました。美しさと禍々しさを兼ね備えた形を見事に再現しています。研究室ではその昔、この植物を実際に栽培していたようです。



以上の計14作品が今年は発表されました。来年度も完成度の高い様々な作品が出てくるとよいですね。