2018年9月26日(水) 06:28 JST

人工技能研究始めました

  • 2016年1月20日(水) 12:00 JST
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オリジナル角のみツールを扱うロボット

人工技能とは

京都大学の吉川恒夫先生がおそらく2000年頃に書かれたであろうメモには、ロボットは人工技能を実現する機械とあります。吉川先生のメモでは、人工知能を人間の知能作業の代行とするアナロジーで人工技能は人間の技能作業の機械化とされています。吉川先生のメモは現在でも次のURLでご覧頂けます。

https://staff.aist.go.jp/h.arai/rsj2k_os/os_proc/yoshikawa.html

さて、当研究室ではデジタルアーカイブ研究のデータの整合性検証のために、CNCフライス盤や3Dプリンタを使ってきました。これらの出力機械は、作成した3Dデータの正しさを検証するのに十分な能力を持つことを論文等で紹介してきましたが、実は、もの足りなりなく思うこともしばしばありました。どのような点がもの足りないかというと:

  1. 制作物の大きさが限られる・・・建築物全体を作ろうにもスケールは頑張っても1/15~1/50程度になり迫力がない。
  2. 素材・・・特に3Dプリンタを用いる場合には、プラスチック感を残念に思うことも多い。
  3. 納まりの改変・・・こちらはフライス盤を用いる場合に特に顕著で、入隅(ポケット形状)の忠実な再現は特に難しい。

3.に関しては部品を相互に組み上げてしまえばわからないことが大半で、学術的にはともかく感性的には許容されえますが、1.と2.は完成後の見た目に影響大きく、ただただ残念に思うばかりです。

そうこうしているうちに、大きいものを造りたければ、まず、大きい出力装置を作るべきだという至極あたりまえの結論に至り、しばらく前から計算機制御の加工機の研究を始めました。今年の年始のご挨拶に採用した下の写真は、1/5スケールで再現した伝統木造屋根隅部ですが、これはほんものの檜ですので、上述の1.〜3.の不満点が解消されています。いつでもご覧いただけるのでご興味のあるかたは研究室にいらしてください。 後ろに写っているオレンジ色のロボットが誇らしげに丸ノコをかざしていますが、このロボットが研究室で制作中の加工機のひとつです。この他に5軸のマルチカットソーも制作中です。近々にマルチカットソー・マシンも紹介できると思います。

さて、オレンジの「ロボット棟梁」ですが、このロボットは産業用としては小さいもので、このロボット棟梁をもってしても実物の1/5が制作可能なギリギリのスケールです。今後実物大(1/1)での検証を進めるためには、より大型のロボットをベースに、大きめの刃物(ツール)の開発も必要です。ここしばらくは、ロボット加工機の開発が研究室の活動中心となるでしょう。

私たちの開発するロボット加工機で熟練棟梁をリプレースしてしまおうなど、大それた考えはありませんが、多忙な棟梁達を手助けできる程度の能力を最低限として数年のうちに実現する計画です。そのレベルで人工技能を称するのは吉川先生のコンセプトには不足かもしれませんが、なかなか素敵な言葉なので、研究テーマのキャッチフレーズとして使わせていただくことにしました。ということで:

 

人工技能研究始めました。

 

オリジナル角のみツール・・・ロボットに持たせるツールは研究室で設計し金属部品の一部を機械工学科の工房に制作を委託しています。