2025年4月27日(日) 08:13 JST

2014年度卒業論文発表会が行われました

  • 2015年2月24日(火) 14:12 JST
  • 投稿者:
    ゲストユーザ

2014年度は本研究室から4名の学生が卒業論文の発表を行いました。それぞれの内容を簡単に紹介します。

  • 4K解像度によるARシステムの実用性評価に関する研究
  • 幾何学的条件に基づくテンセグリティの設計手法に関する研究
  • 拡張現実感の利用を前提としたカメラ付きヘッドマウントディスプレイの開発に関する研究
  • ジェネラルティブデザインによるタイルパターン生成に関する研究



4K解像度によるARシステムの実用性評価に関する研究

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WebARインテリアシミュレータの研究から得た考察を基に、4Kディスプレイでの表示を前提としたシミュレータを新たに開発し、その実用性の評価を行いました。今回は、インテリアシミュレータにおいてリアリティを大きく左右する、家具モデルの質感に重点を置いて開発しました。また一方で、画素数の多い4Kディスプレイでも安定した描画を行えるような工夫をしています。上の2枚の画像がWebARと新シミュレータの家具モデルの比較です。4K側では革の細かな凹凸や金属の映り込みなどがしっかり再現されています。やはり質感のクオリティを上げると、3DCGがリアリティを持ちますね。左下が今回実装したインテリアシミュレータのインターフェイス、右下の写真がWebARとの比較評価実験の様子です。評価アンケートの結果、期待通りの結果が得られました。



幾何学的条件に基づくテンセグリティの設計手法に関する研究

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テンセグリティとは圧縮力と張力をそれぞれ負担する部材から構成されている構造物です。張力を負担する部材にはワイヤーなどの細い材料を用いることができ、軽やかで浮遊感のある意匠を実現することが可能です。しかし、形状と張力が相関関係にあるため、設計者が形状を意図的に決定することが難しいという問題点があります。そこで、この研究では複雑な形状を意図的に設計していると考えられるケネル・スネルソン氏のテンセグリティ(左上の図)を観察・解析することで形状設計の規則性における仮説を立て、その検証を行いました。仮説の検証はまず、右上・左下の2枚の画像のようなスネルソンの作品モデルに対して行った後、右下の図のように自身で設計したテンセグリティに対して行いました。



拡張現実感の利用を前提としたカメラ付きヘッドマウントディスプレイの開発に関する研究

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こちらの研究では、没入感の高いヘッドマウントディスプレイ(HMD)を開発するため、主にフレームレートや装着感の向上を図り、3通りの試作を重ねてハードウェア・ソフトウェアの構成を検討しました。左上から初号機・弐号機・参号機です。タブレット端末やスマートフォンを利用して開発しているので、使用する機器を選定することができる自由度の高い設計となっています。画像処理ソフトウェアの微調整のみで、自分の端末を利用してHMDにすることもできます。没入型のHMDの前面にカメラを取り付けることで外部情報を取得し、そこへARによる情報を重畳した映像をディスプレイに表示しました。HMDも徐々に知られるようになってきた技術ですが、これから建築分野においても活用の幅が広がることが期待されます。



ジェネラルティブデザインによるタイルパターン生成に関する研究

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美しいタイルパターンは訪れる人の足元を彩り、建築に一種の豊かさをもたらします。しかし、平面充填の制約があるなかで不規則かつ複雑なタイルパターンを設計することは人力では困難であるため、実際は長方形などを用いた簡素なものが多く見られます。そこで、この研究では自己相似分割や再帰的分割を用いたアルゴリズムによって、平面充填が可能なタイルパターンを生成するシステムを実現しました。上の2枚の画像は実際の簡素なタイルパターンの空間と、新たに生成したジェネラルティブデザインのタイルパターンの空間です。複雑なタイルパターンになるとがらっと印象が変わりますね。三角形を基調として、見る範囲によって規則性と不規則性の両方を感じる魅力的なタイルパターンを生成できました。